相続税の基礎控除額は非課税枠のこと!税金計算と6つの節税方法
- 2018.09.17
- 相続税

相続税の基礎控除とは、相続税の非課税枠のことです。
基礎控除によって相続税額が大きく変わります。
基礎控除をもとに相続税額を計算します。
基礎控除と相続税の計算方法を知っておくことで、相続税を節税する方法も見えてきます。
節税とは「節約」と同じで、無駄な税金を払わないことです。
※もちろん、脱税は犯罪ですのでダメです。
この記事では、
- 基礎控除の計算方法
- そもそも相続財産とは?
- 相続税の計算方法
- 相続税を節税する6つの方法
などをご紹介します。
あなたの相続の参考になればうれしいです。
それでは、さっそく見ていきましょう(^^)
相続税の基礎控除とは非課税枠のこと
「基礎控除」というと専門用語で聞き慣れないですよね。
基礎控除とは「相続税の非課税枠」のことです。
基礎控除の計算方法は『3000万円+600万円×法定相続人数』です。
「法定相続人数」も専門用語ですね。
「法定相続人」とは、簡単にいうと亡くなった人の家族のことです。
後述しますが、法定相続人は民法で決められていて、亡くなった人の家族状態によって変わります。
『3000万円+600万円×法定相続人数』によって導き出された基礎控除額よりも、亡くなった人の財産の総額が大きければ、基礎控除を超えた部分の財産金額に相続税がかかります。
基礎控除額よりも、亡くなった人の財産の総額が小さければ、相続税はかかりません。
基礎控除は「相続税の非課税枠」ですから、財産が非課税枠に収まれば非課税ということです。
例えば、遺された家族(法定相続人)が3人だった場合は『3000万円+600万円×3人』ですので、基礎控除は4800万円となります。
亡くなった人の財産の総額が4800万円より多かったら相続税がかかりますし、4800万円より少なかったら非課税ということです。
平成27年の税制改正で相続税が課税される人が増えた
実は基礎控除は平成27年に計算方法が改正されています。
平成26年までの基礎控除の計算式は『5000万円+1000万円×法定相続人数』でした。
ところが、平成27年の税制改正で基礎控除の計算式は『3000万円+600万円×法定相続人数』に変更されています。
例えば、法定相続人が3人だった場合の基礎控除を、平成26年までと平成27年以降で比較してみると、
- 平成26年まで:5000万円+1000万円×3人=8000万円まで非課税
- 平成27年以降:3000万円+600万円×3人=4800万円まで非課税
となり、非課税枠が大きく減少しているのがわかります。
非課税枠が減少しているということは、平成26年までに亡くなった人の相続税よりも、平成27年以降に亡くなった人の方が「相続税がかかりやすい」「相続税が高い」と言えます。
国税庁の発表によると、平成26年に亡くなった人のうち相続税が課税された人の割合は4.4%だったのに対し、平成27年に亡くなった人で相続税が課税された人は8%だったそうです。
引用元:国税庁「平成27年分の相続税の申告状況について」
また、東京・大阪・愛知の国税局による発表によると、平成26年と平成27年の相続税が課税された人の割合は、
- 東京都:平成26年7.5%→平成27年12.7%
- 大阪府:平成26年4.8%→平成27年8.2%
- 愛知県:平成26年8.1%→平成27年13.8%
と大きく増えています。
引用元:東京国税局「平成27年分の相続税の申告状況について」・大阪国税局「平成27年分の相続税の申告状況について」・国税庁「相続税の申告事績【愛知県】」
ちなみに、東京23区だけでの相続税課税割合は、
- 平成26年:約10%
- 平成27年:約17%
に上昇しています。
平成27年の相続税の税制改正(基礎控除の計算変更)によって、従来は相続税がかからなかった人も課税対象になる可能性が出てきました。
特に、東京23区に土地を持っている人は注意してください。
※東京の土地に評価額は高いため、相続税対象になりやすいです。
基礎控除早見表
基礎控除の計算方法は「3000万円+600万円×法定相続人数」ですが、「計算するのが面倒くさい」という人のために早見表を作りました。
基礎控除を計算する上で重要なのは「誰が法定相続人なのか?」ということです。
それでは、いくつかの家族のパターンで「法定相続人は誰で、何人なのか?」を見ていきましょう(^^)
基礎控除の計算事例「法定相続人は誰?何人?」
基礎控除を計算するときに必要な「法定相続人数」について解説します。
あなたのご家族は「法定相続人が何人なのか?」を確認してみてください。
ちなみに、この記事に出てくる「被相続人」と「相続人」の意味ですが、
- 被相続人:亡くなった人
- 相続人:遺された家族
となります。
配偶者と子供の場合
上記のような、遺された家族(相続人)が配偶者と子供の場合、法定相続人数は妻と子供2人なので3人です。
基礎控除は、3000万円+600万円×3人(妻・息子・娘)=4800万円です。
法定相続人の原則ですが「配偶者は常に法定相続人」といるルールがあります。
ちなみにこの場合は、息子・娘は結婚していてもいなくても法定相続人数は変わりません。
法定相続人の配偶者は法定相続人には入りません。
配偶者と親の場合
上記のような、子供のいない夫婦で、遺された家族(相続人)が配偶者と親の場合、法定相続人は妻と親2人の3人です。
基礎控除は、3000万円+600万円×3人(妻・夫の父・夫の母)=4800万円です。
夫婦に子供がいない場合は、配偶者と親が法定相続人になります。
ちなみに、この場合は夫の兄弟がいてもいなくても、法定相続人は配偶者と親です。
配偶者と親の人間関係が悪いと遺産分割協議でモメることがあるのでご注意を…。
配偶者と兄弟の場合
子供のいない夫婦で、親がすでに他界していて兄弟がいる場合の法定相続人は配偶者と兄弟です。
上記の場合の法定相続人は、妻と姉と弟の3人です。
基礎控除は、3000万円+600万円×3人(妻・姉・弟)=4800万円です。
配偶者のみの場合
相続人が配偶者のみの場合は、法定相続人も配偶者のみです。
- 夫婦に子供がいない
- 親がすでに亡くなっている
- 兄弟がすでに亡くなっていて子供がいない(もしくは兄弟がいない)
という条件がそろうと、法定相続人は配偶者のみになります。
法定相続人が配偶者のみですので基礎控除は、3000万円+600万円×1人(妻)=3600万円です。
子供のみの場合
両親が2人も死亡した場合は法定相続人は子供のみです。
この場合、夫の親や兄弟が存命でも子供のみが法定相続人です。
※相続は下にいくのがルールです。
上記の場合の基礎控除は、3000万円+600万円×1人(子供)=3600万円です。
ちなみに、両親が離婚して片親になった後に親が亡くなった場合でも、法定相続人は子供のみです。
親のみの場合
本人に配偶者も子供もおらず、親が存命の場合は、親2人が法定相続人になります。
この場合、兄弟が存命でも兄弟は法定相続人にはなりません。
上記の場合の基礎控除は、3000万円+600万円×2人(父・母)=4200万円です。
兄弟のみの場合
本人に配偶者も子供もおらず、すでに親が亡くなっている場合は、兄弟が法定相続人になります。
上記の場合の基礎控除は、3000万円+600万円×2人(姉・弟)=4200万円です。
兄弟と甥姪の場合
本人に配偶者も子供もおらず、親もすでに他界している場合は兄弟が法定相続人になりますが、兄弟も他界しており子供(甥姪)がいれば兄弟の子供が法定相続人になります。
上記の場合は姉と甥が法定相続人です。
※弟の妻は法定相続人にはなりません。
基礎控除は、3000万円+600万円×2人(姉・甥)=4200万円です。
法定相続人がすでに死亡している場合は、その子供が法定相続人になりますが、この場合を「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」といいます。
離婚した夫婦で子供がいる場合
離婚した夫婦に子供がいる場合は、元配偶者は法定相続人ではありませんが、子供は法定相続人です。
上記の場合の基礎控除は、3000万円+600万円×2人(息子・娘)=4200万円です。
連れ子の場合
配偶者の連れ子は法定相続人ではありません。
上記の場合の法定相続人は配偶者と親2人です。
基礎控除は、3000万円+600万円×(妻・夫の父・夫の母)=4800万円です。
連れ子を法定相続人にするには、亡くなる前に連れ子を養子縁組にしておく必要があります。
内縁の妻の場合
内縁の妻は法定相続人にはなれません。
正式に籍を入れて配偶者になれば法定相続人になれます。
上記の場合の法定相続人は子供だけです。
基礎控除は、3000万円+600万円×1人(子供)=3600万円です。
ちなみに、亡くなった人に法定相続人が誰もいない場合は、内縁の妻が「特別縁故者」となり法定相続人になれる可能性があります。
※裁判所から認められないと特別縁故者にはなれません。
前妻・前夫との間に子供がいる場合
前妻・前夫との間の子供も法定相続人になります。
上記の場合の法定相続人は、後妻・後妻のと子・前妻との子の3人です。
※前妻は離婚しているため法定相続人ではありません。
上記の基礎控除は、3000万円+600万円×3人(後妻・後妻との子・前妻との子)=4800万円です。
前妻・前夫との間に子供がいる場合、遺産分割協議(財産の分け方の協議)が難航する危険性がありますので遺言書や家族信託を使って、生前に対策しておきましょう。
隠し子が発覚した場合
隠し子がいた場合、認知していれば法定相続人に含まれます。
※婚姻関係にない間の子供を「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」といいます。
上記の場合、夫が隠し子を認知していれば、法定相続人は妻・子・隠し子の3人です。
基礎控除は、3000万円+600万円×3人(妻・子・隠し子)=4800万円です。
隠し子がいる場合も遺産分割協議が難航しやすいです。
※当然ですが…。
遺言書や家族信託を生前に対策をしておきましょう。
相続権の欠格者がいる場合
財産目的で被相続人を殺害した場合などは、法定相続人の権利がなくなります。
※当然ですよね。
上記のように息子が欠格者になった場合の法定相続人は妻と娘の2人です。
基礎控除は、3000万円+600万円×2人(妻・娘)=4200万円です。
相続権の廃除者がいる場合
法定相続人が被相続人に対して虐待・重大な屈辱・著しい非行があった場合に、家庭裁判所が認めれば法定相続人の権利を廃除することができます。
ただし、家庭裁判所が法定相続人の権利を廃除する例は非常に稀です。
上記の場合、息子が廃除者になれば法定相続人は妻と娘の2人になります。
基礎控除は、3000万円+600万円×2人(妻・娘)=4200万円です。
法定相続人がいない場合は…?
ちなみに、誰も法定相続人がいない場合は、財産は国庫に帰属されます。
※国に返還という意味です。
ただし、現実的には簡単に国庫に帰属はさせてくれません。
国は戸籍をたどってどうにか法定相続人を探します。
どうしても法定相続人がいない場合のみ、財産は国庫に帰属されます。
そもそも遺産や財産は何?相続財産に含まれるものは?
相続税を計算するときは、『(亡くなった人の財産の総額)ー(基礎控除)』を計算して、基礎控除を上回った部分に相続税が課税されます。
その際「そもそも、亡くなった人の財産ってどういうもの?」という疑問がわきますよね?
相続財産に含まれるものと、おおよその評価方法をご紹介します。
ただし、正確な財産の把握は専門家に依頼する方が確実です。
ちなみに、当協会でも専門家のご紹介を行っていますので、周りに専門家がいない人は当協会にお気軽にお問い合わせください。
現金
現金は相続財産に含まれます。
評価方法は、金額のとおりです。
現金が1000万円あれば、相続税の計算をするときの財産の評価額も1000万円です。
預金
銀行預金も相続財産に含まれます。
評価方法は現金と同じく「金額そのまま」が評価額です。
預金残高が1000万円あれば、評価額も1000万円です。
預金の注意点は名義預金です。
口座の名義は亡くなった本人(被相続人)ではないけど、お金の出どころが亡くなった人だと、亡くなった人の相続財産に含まれます。
よくあるケースは、
- 夫のお金なんだけど妻の口座にお金を入れていた
- 祖父のお金なんだけど孫の口座にお金を入れていた
などです。
そもそもこれは、お金をあげる行為である「贈与」ともとれるため、本来は贈与税の対象です。
「言わなきゃわからないだろう…」と自分以外の家族の口座にお金を入れておくと、亡くなったときに相続財産としてカウントされてしまいます。
「どうやってわかるんだろう?」と疑問に思いますよね?
税務署さんは「あやしい…」と思うと銀行に出向いて口座の調査をします。
お金の出どころが亡くなった人であることをつきとめると、相続財産として計算されます。
株式
株式も相続財産に含まれます。
株式は上場株式と非上場株式で評価方法が違います。
上場株式の評価方法は、
- 課税時期の終値
- 課税時期の月の毎日の終値の平均値
- 課税時期の月の前月の毎日の終値の平均値
- 課税時期の月の前々月の毎日の終値の平均値
の中でもっとも低い価格が、相続税を計算するときの評価額です。
非上場株式の評価方法は、
- 非上場株式・原則評価方式
- 類似業種比準方式
- 純資産額方式
のうち、2つの評価方式の組み合わせで計算します。
※非上場株式の評価は難しいため、税理士に依頼するのが一般的です。
土地
土地も相続財産に含まれます。
相続税の計算をするための土地の評価方法は、固定資産税評価額でも土地の売却値でもありません。
国税庁が発表している「路線価」という方法で土地の評価額を計算します。
路線価は国税庁のホームページに掲載されています。
参考:国税庁「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」
路線価を見ればおおよその土地の評価額は計算できますが、変形地(正方形や長方形でない土地)は専門家でないと計算が難しいです。
土地の評価は難しいので、専門家に依頼するのが一般的です。
ちなみに、当協会でも専門家のご紹介を行っていますので、周りに専門家がいない人は当協会にお気軽にお問い合わせください。
また、土地の評価をするときには「小規模宅地の評価減」という特別措置が使えます。
簡単にいうと「亡くなった人が住んでいた持ち家が建っている土地は、相続税の評価を下げます」という特例です。
評価を下げてくれるということは、相続税計算を行う際の財産金額が減りますから、相続税を少なくする効果があります。
亡くなった人が住んでいた持ち家が建っている土地のうち、330㎡までの評価は80%減という特例です。
「80%減」ですから、80%OFF・評価額は2割でいいということです。
※路線価による土地の評価額が1000万円の土地であれば、評価額は200万円です。
ちなみに、330㎡を超えた部分の評価額は通常の評価になります。
ただし、小規模宅地の評価減の特例を受けるには条件があり、相続後も親族がその家に住み続けなければいけません。
ようは、相続後に空き家にしてはいけないのです。
もっともあり得るのは、同居していた夫婦で夫が亡くなり、妻がその家に住み続けるケースです。
小規模宅地の評価減の特例が使えます。
また、配偶者以外の親族がその家に同居していて、相続発生後もその家に住み続ける場合も対象です。
ちなみに、「実際は一緒に住んでいないけど住民票だけその家にしてある」という場合は対象外です。
税務署さんの立場からみれば、80%OFFの大盤振る舞いのわけですから、きちんと調査します。
同居していた実態がないと、小規模宅地の評価減は使えません。
「いつから同居していればいいの?」という質問もありますが、被相続人が亡くなってから10ヶ月はその家に住まなければいけません。
10ヶ月ですから、形だけの同居や一時的な同居では小規模宅地の評価減制度は使えないということです。
また、平成30年4月1日から小規模宅地の評価減を使えるケースがもう1つ追加されました。
亡くなった人(被相続人)と3年以上同居していない独身の親族が、相続発生後にその家に1人で住む場合も小規模宅地の評価減が使えます。
わかりやすくいうと「独身一人暮らしの親族が、亡くなった親族の家に引っ越して一人暮らしを始める」というケースです。
小規模宅地の評価減の特例は宅地以外にも、亡くなった人が事業用に使っていた土地を相続するときにも使えるものがあります。
相続税の節税効果が高いため有効に活用しましょう。
建物
建物も相続財産に含まれます。
建物の評価方法は、毎年贈られてくる固定資産税評価額の金額に1.14をかけると、おおよその評価額が出せます。
固定資産税評価額が1000万円であれば、1140万円がおおよその相続税計算の評価額です。
また、建物(不動産)が賃貸物件の場合は「借家権」を算入するため、さらに0.7をかけてください。
ただし、建物(不動産)の評価は正確な数字は出しにくいため、専門家に評価依頼するのが一般的です。
ちなみに、当協会でも専門家のご紹介を行っていますので、周りに専門家がいない人は当協会にお気軽にお問い合わせください。
生命保険の死亡保険金
生命保険の死亡保険金も相続税を計算するときの財産に含まれます。
ただし、生命保険の死亡保険金には非課税枠があります。
500万円×法定相続人数は非課税のため、相続税の計算から除外できます。
例えば、法定相続人が4人だったら500万円×4人=2000万円は非課税です。
仮に死亡保険金が3000万円であれば、死亡保険金3000万円ー非課税枠2000万円=1000万円のみが課税対象額です。
ちなみに、生命保険の死亡保険金受取人は1人になっていることが多いです。
仮に、法定相続人が4人で、死亡保険金受取人が1人であっても、非課税枠は500万円×4人で2000万円です。
また、複数の保険契約がある場合は、死亡保険金を合算して計算します。
※保険契約1件につき500万円×法定相続人数の非課税枠があるわけではありません。
亡くなる3年前以内に受けた贈与財産
被相続人(亡くなった人)が亡くなる3年前以内に贈与された財産も相続税計算の対象です。
贈与(ぞうよ)とは、財産をあげることです。
本来は贈与税が発生するのですが、亡くなる3年前以内の贈与財産は相続税計算に入れて計算します。
すでに納税した贈与税と二重課税にならないように、贈与税と相続税の重なる部分は相殺します。
ただし、亡くなった人(被相続人)の孫への贈与は3年さかのぼって相続税計算に参入する必要はありません。
※孫は法定相続人ではないためです。
死亡退職金
亡くなった人(被相続人)が勤めていた会社から死亡退職金が支給されることがあります。
死亡退職金は、500万円×法定相続人数の非課税枠があります。
実際に支給された死亡退職金から非課税枠を引いた額が、相続税計算の対象額です。
亡くなった人が契約者になっていた生命保険
亡くなった人(被相続人)が契約者、被保険者が亡くなった人以外になっている生命保険契約も相続税計算の対象です。
亡くなった人が被保険者ではありませんので、この場合は死亡保険金の給付はありません。
亡くなった時点での保険の解約返戻金額が相続税計算の対象になります。
「孫の学資保険などを祖父母が払っていた」などがよくあるケースです。
自動車
自動車も相続財産です。
自動車の評価方法は、中古車市場で同じ年代・同じ車種の売値を参考に計算します。
骨董品
骨董品も相続財産です。
評価方法は、専門家の鑑定や、骨董品市場での売買価格を参考に計算します。
※素人には算出できないため、専門家に相談するのが一般的です。
金・プラチナなど貴金属
金やプラチナなどの貴金属も相続財産です。
評価方法は、亡くなったときの小売価格を参考にします。
ゴルフ会員権
今はだいぶ減りましたが、ゴルフ会員権も相続財産です。
評価は亡くなった時点での取引価格の70%で計算します。
相続時精算課税制度で贈与された財産
相続時精算課税制度を使って贈与された財産も、相続発生時には相続財産に加えて相続税の計算をします。
相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子・孫への生前贈与について、2500万円までは贈与税がかからない制度です。
※本来の贈与は年間贈与金額の110万円を超えた部分に贈与税が課されます。
「2500万円も贈与税が非課税」となると美味しすぎる話ですので、ちゃんと条件があります。
「2500万円の贈与が非課税だけど、贈与を提供した60歳以上の父母・祖父母が亡くなった際は、相続時精算課税制度で贈与した金額を相続財産に差し戻して計算しますよ」という制度です。
簡単にいうと「贈与税は2500万円までかからない代わりに、相続税がかかります」ということです。
「納税の先送り」という意味が強いです。
例えば、「今すぐに父母や祖父母から資金援助を受けたいけど、高い贈与税を払いたくない」という場合に有効です。
相続時精算課税制度を使わずに2500万円も贈与してしまうと、贈与税は945万円もかかってしまいます。
2500万円贈与を受けたのに、945万円も贈与税がかかったら、手取りは2500万円ー945万円=1555万円まで減ってしまいます。
参考:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
「いま目の前の資金不足に悩んでいる!あとで相続税がかかるのはわかったから、とりあえずすぐに資金がほしい!」という場合は良いでしょう。
相続時精算課税制度の特徴は、相続発生時に相続時精算課税制度によって贈与した財産を差し戻す際は、贈与したときの価値で差し戻すという点です。
「何年か経つと価値が上昇するもの」を贈与しておくと、相続税計算するときは贈与時の低い価値で計算できるため有利です。
※解約返戻金のある生命保険などが代表的です。
反対に「何年か経つと価値が下落するもの」を贈与すると損です。
※不動産など。
株式など有価証券は上がるか下がるかわからないため、損か得か判断しかねるものですね。
現金や預金は価値が変わらないので、損も得もないでしょう。
相続時精算課税制度の非課税分2500万円を超えた部分の贈与には、一律20%の贈与税が課税されます。
また、相続時精算課税制度の最大の注意点は、相続時精算課税制度を一度使ってしまうと、通常の贈与税の非課税枠(年間110万円)が使えなくなってしまうことです。
後述しますが、相続税の節税をするなら通常の贈与税の非課税枠(年間110万円)の方が節税効果が高いです。
相続時精算課税制度を使う際は、必ず専門家に相談してリスクを確認しましょう。
相続時精算課税制度を使って2500万円の贈与が非課税になる代わりに、相続税がかかるというのが損なのか得なのかは、各家庭や財産状況によって変わります。
参考:国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」
ちなみに、当協会でも専門家のご紹介を行っていますので、周りに専門家がいない人は当協会にお気軽にお問い合わせください。
葬儀費用・お墓・仏壇・債務は相続財産から引く
葬儀費用・お墓・仏壇などは相続財産には含みませんので、計算するときには引いてください。
また、債務はマイナスの財産のため相続財産から引くことができます。
相続財産が基礎控除を超えない場合
相続財産の総額から基礎控除を引いた結果、相続財産の総額が基礎控除を超えない場合は、相続税の納税はありません。
例えば、相続財産が3000万円で、基礎控除が4800万円だった場合は、相続財産から基礎控除を引くとマイナスになるため、相続税はかからないということです。
ちなみに、相続税申告の必要もありません。
相続税は発生しませんが「誰がどの財産を相続するか」を決める遺産分割協議は必要です。
遺産分割協議の結果相続財産が決まったら、財産の名義を相続人に変更する必要があります。
※いつまでも亡くなった人の名義のままにしていてはいけません。
名義変更には遺産分割協議書が必要ですので、必ず遺産分割協議書を作成してください。
ただし、遺産分割協議書は未成年がいる場合や、債務がある場合などで書き方が変わります。
素人には少々面倒な作業ですので、専門家に相談するのが一般的です。
また、相続財産を計算する場合は専門家立ち合いのもと行う方が無難です。
自分で相続財産を計算して「よし!基礎控除より財産が小さいから相続税はかからないぞ!」と安心していたら、実は相続税対象だったというケースもあります。
計算間違いをして重い延滞税がかからないように、専門家に見てもらうのが安心です。
ちなみに、当協会でも専門家のご紹介を行っていますので、周りに専門家がいない人は当協会にお気軽にお問い合わせください。
小規模宅地の評価減や配偶者控除を使う場合は相続税の申告が必要
前述した、相続した宅地は「小規模宅地の評価減の特例」があるため、節税効果が大きいです。
「小規模宅地の評価減の特例を使わないで計算すると基礎控除を超えてしまい相続税がかかるけど、小規模宅地の評価減の特例を使えば基礎控除を超えないから相続税がかからない」という場合は、相続税申告が必要です。
「相続税がかからない」という結論は一緒なのですが、「特例を使いますよ」という申告を税務署にしないと小規模宅地の評価減の特例は使えません。
また、亡くなった人(被相続人)の配偶者は「配偶者控除」という特例があり、相続する財産は1億6000万円まで非課税です。
※「亡くなった配偶者とともに財産を築いてきたパートナーだから」という意味で大きな非課税特例があるのです。
ただし、配偶者控除も小規模宅地の評価減と同じく、税務署に相続税申告をしないと適用されません。
小規模宅地の評価減の特例・配偶者控除を使う場合は、相続税申告をお忘れなく。
配偶者控除は二次相続のリスクがある
ちなみに、配偶者控除の「非課税枠1億6000万円」は、相続税計算の中で最大級の非課税枠です。
「だったら、配偶者が全部相続しちゃえば、1億6000万円以下は相続税かからないじゃん」と思いますよね?
たしかにその考えは合っていますが、リスクはその配偶者が亡くなったときです。
子供がいる夫婦が亡くなったら、子供に相続財産が来ます。
ですが、配偶者控除で非課税になった多額の財産が子供に相続されたとき、多額の相続税が発生します。
ようは、配偶者控除は「問題の先送り」でしかないのです。
子供には配偶者控除のような大きな節税特例がありません。
配偶者控除に頼って配偶者に財産を偏らせないようにするのがポイントです。
相続税の節税を狙うなら、配偶者と子供に相続させる財産の割合を計算しておくことが重要です。
また、必要に応じて子供や孫に生前贈与することでも節税効果があります。
後述しますが、相続税よりも贈与税の方が税率が安くなるポイントがありますので、生前贈与も有効です。
いずれにせよ、最良の相続方法を検討するには専門家の意見を聞いた方が良い案がでやすいので、専門家にも相談してください。
ちなみに、当協会でも専門家のご紹介を行っていますので、周りに専門家がいない人は当協会にお気軽にお問い合わせください。
相続財産が基礎控除を超える場合
相続財産が基礎控除を超える場合は、基礎控除を超えた部分に相続税がかかります。
相続税の申告期限は、相続発生時から10ヶ月以内です。
10ヶ月は意外と時間がありません。
- 通夜・葬儀
- 生命保険金の請求
- 健康保険や年金の停止手続き
- 初七日
- 相続人の確定(知らなかった法定相続人が登場することも…)
- 四十九日
- 遺言書があれば確認・検認(自筆の遺言書が見つかっても絶対に開封しないで!)
- 相続財産の調査(どんな財産があるかを金融機関やその他に確認。債務の調査も忘れずに)
- 遺産分割協議
- 遺産分割協議書の作成
- 遺産の名義変更
- 相続税納税
という流れを、いつも通りの生活を送りながら行う必要があります。
けっこう忙しいですよね。
スムーズに相続税手続きが進むとは限らず、
- 遺産分割協議でもめる
- 遺産分割協議後に知らなかった財産が発見されて遺産分割協議がやり直しになる
- どうしても連絡がとれない法定相続人がいる
などで、時間をとられてしまうケースが多いので、10ヶ月はあっという間に過ぎます。
相続税の納税スケジュールは、とにかく前倒しで動くことがコツです。
相続税の計算方法
相続税の計算方法をご紹介します。
実際に事例があった方がわかりやすいので、下記の家族を例にとって相続税を計算してみましょう。
まずは相続財産の把握と計算
まずは相続財産を把握して、評価額を計算しましょう。
※上の事例では相続財産1億円とわかっているので割愛します。
この段階で相続財産から引いていいものは、
- 葬儀費用
- お墓、仏壇など
- 債務
- 生命保険の非課税枠
- 死亡退職金の非課税枠
- 小規模宅地の評価減
です。
基礎控除を計算して課税対象額を割り出す
基礎控除を計算しましょう。
上の家族の法定相続人は妻・息子・娘の3人ですので、3000万円+600万円×3人=4800万円が基礎控除です。
相続財産1億円ー基礎控除4800万円=5200万円が相続税の課税対象額です。
法定相続分で分けた場合の相続税額を計算する
相続税の課税対象額が5200万円とわかったら、課税対象額を民法で定められた法定相続分にわけて、それぞれの相続税を計算します。
民法で定められた法定相続分は、
- 妻:50%
- 息子:25%
- 娘:25%
です。
そのため、各人の課税対象額は、
- 妻:5200万円×50%=2600万円
- 息子:5200万円×25%=1300万円
- 娘:5200万円×25%=1300万円
となります。
次に各人の課税対象額の相続税を計算します。
引用元:国税庁「No.4155 相続税の税率」
3人とも「3000万円以下」に該当するので、
- 妻:2600万円×15%-50万円=340万円
- 息子:1300万円×15%-50万円=145万円
- 娘:1300万円×15%-50万円=145万円
となります。
そして、3人の相続税額を一度合算します。
妻340万円+息子145万円+娘145万円=630万円が相続税額の合計です。
合計の相続税額を各人の相続する分で按分する
民法で定められた法定相続分は、
- 妻:50%
- 息子:25%
- 娘:25%
ですが、実際に相続する配分は違います。
上の家族だと、実際に相続する配分は、
- 妻:8000万円(80%)
- 息子:1000万円(10%)
- 娘:1000万円(10%)
です。
それそれが相続する分で、先ほどの相続税の合計630万円を按分します。
すると、3人それぞれの相続税の納税額は、
- 妻:630万円×80%=504万円
- 息子:630万円×10%=63万円
- 娘:630万円×10%=63万円
となります。
ちなみに、妻が配偶者控除を使えば、1億6000万円までの相続は非課税になります。
相続財産が8000万円ですので、妻の相続税は最終的に0円となります。
※504万円を納税する必要はありません。
以上のように相続税の計算は行います。
一般的には相続税の計算は税理士にやってもらう人が多いです。
もし計算間違いをしてしまうと、修正申告や追徴課税が来てしまう危険性があるからです。
税理士は全員が相続税に詳しいわけではありませんので注意してください。
実は、相続税に詳しい税理士は少ないんです。
過去にあった実例ですが、相続税申告に詳しくない税理士に相続税申告を頼んでしまい、小規模宅地の評価減が使われておらず、払わなくていい高い相続税を払っていた人がいました。
相続税に強い税理士が周りにいない人は、当協会にご相談ください。
当協会では、各地の相続税に強い税理士をご紹介しています。
その他の相続税控除
配偶者控除以外にも相続税の控除がありますので、ご紹介しておきます。
該当するものがあれば活用してください。
未成年控除
相続人の中に未成年がいる場合は未成年控除を使えます。
成年になるまでの年数×10万円を、相続税額から引けます。
引用元:国税庁「No.4164 未成年者の税額控除」
障害者控除
相続人の中に障害者がいる場合は障害者控除が使えます。
障害者が85歳になるまでの年数×10万円を相続税額から引けます。
また、特別障害者の場合は85歳になるまでの年数×20万円を相続税額から引けます。
引用元:国税庁「No.4167 障害者の税額控除」
参考:国税庁「特別障害者」
相次相続控除
過去10年以内に2回相続があった場合は、1回目の相続税が一部控除されます。
例えば、父が亡くなってから10年以内に母も亡くなった場合などに適用されます。
引用元:国税庁「No.4168 相次相続控除」
外国税額控除
国際結婚がめずらしくない現代ですから、外国税額控除も適用になる人が増えています。
海外で課税された相続財産に対して、日本の相続税もかかると二重課税になってしまうのを防ぐための控除です。
すでに海外で相続税が課税されている場合は、日本の相続税は一部控除されます。
引用元:国税庁「No.1240 居住者に係る外国税額控除」
相続税を節税する6つの方法
相続税が高い人は「何とか相続税を節税する方法はないかな?」と考えますよね?
また、相続税は現金一括納付ですから、納税の現金が必要です。
よくあるトラブルが「財産はあるけど納税資金がない」というケースです。
日本人の財産割合は不動産が多いため、「不動産はあるけど現金がない」という人は多いのです。
どうしても相続税を現金で納められない場合は物納という方法もありますが、換金性の高い財産から差し押さえられていきます。
物納の場合は「この不動産は手放したくない!」というような自由が効きません。
いずれにせよ、相続税が節税できるならばしておきたいのが本音だと思います。
相続税を節税する方法を6つご紹介します。
ただし、お断りしておかなければいけないのは、すべての節税方法は「生前にしか対策できない」ということです。
効果的な相続税の節税対策は「亡くなってからでは遅い」のです。
元気なうちに相続税対策をうっておくのが、節税するコツです。
①法定相続人を増やす
基礎控除が大きくなるほど相続税の非課税枠が大きくなりますから、節税効果があります。
法定相続人を増やすのに現実的な方法は養子縁組です。
一般的には孫や、子供の配偶者を養子縁組にするケースが多いです。
ですが、「養子縁組で法定相続人を増やせるなら、無限に養子縁組を増やせば相続税はかからない」ということになってしまいます。
そのため、相続税においては養子縁組の上限が決められていて、
- 子供がいる人は養子縁組は1人まで
- 子供がいない人は養子縁組は2人まで
となっています。
ちなみに、養子縁組の理由が「相続税対策のため」だと養子を基礎控除に算入できません。
税務署の職員さんに「養子縁組した理由は何ですか?」と聞かれたら、間違っても「相続税対策です」と言ってはいけませんよ(^^;
大事な戸籍の話のため、養子縁組には別の理由が必要なんです。
また、養子縁組にはデメリットもあります。
- 養子は名字が変わってしまう可能性がある
- 孫を養子にして相続させると相続税が2割加算
- 養子にも遺留分が発生してしまうので、遺産分割協議でもめる可能性が増える
というデメリットがあります。
「遺留分」とは、法定相続人に認められた「相続を受ける権利」です。
例えば、夫が「財産はすべて妻に相続させる!」と言った場合でも、子供は法定相続人ですから最低限相続財産をもらう権利があります。
遺留分は法定相続分の50%です。
※子供の法定相続分は50%ですので、その50%が遺留分、つまり相続財産の25%は遺留分を持っています。
夫が「財産はすべて妻に相続させる!」と言った場合に、子供が「いいよ、それで」と納得すれば妻に全財産を相続させることができますが、「納得いかない!」と子供が言ったら遺留分が優先されます。
法定相続人は遺留分を持っているため、遺産分割でトラブルになる危険性があります。
養子縁組は基礎控除額を増やすのに有効ですが、慎重な判断が必要です。
②暦年贈与をする
親族に毎年贈与をしていくのも相続税の節税対策に有効です。
※暦年贈与(れきねんぞうよ)といいます。
贈与税は、年間110万円までの贈与は非課税です。
毎年110万円以下を親族に贈与していき、相続財産をへらす方法があります。
贈与税は「財産をもらった人が納税する税金」であり、1人あたりに「年間110万円」の非課税枠があります。
例えば、配偶者・子供2人・孫4人の合計7人家族で、1人に110万円を毎年贈与していけば、1年間で110万円×7人=770万円を非課税で贈与できます。
770万円の贈与を10年続ければ、7700万円の財産を非課税で親族に移転できます。
ただし、資産家の人や収入が多い人、親族が少ない人などは「年間110万円贈与じゃ全然相続財産が減らない…」という人もいます。
その場合は、贈与税を払って110万円以上を贈与する方が良いです。
おすすめは親族1人につき、1年で310万円を贈与することです。
贈与税の税率を見てみましょう。
引用元:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
310万円を贈与する場合、まず110万円の非課税分を引くことができます。
すると、310万円ー110万円=200万円が課税価格です。
200万円の課税価格だと贈与税は、200万円×10%=20万円となります。
贈与税が20万円に対して、実際に贈与する金額が310万円ですから、実質の税率は20万円÷310万円=6.45%となります。
相続税の最低税率は10%ですから、相続税よりも低い税率で親族に財産を移転することができます。
310万円贈与がもっとも税率が低くなるためおすすめです。
ちなみに、贈与は「総務諾成契約(そうむだくせいけいやく)」といい、財産をあげる側ともらう側の合意に基づかなければいけません。
例えば、おじいちゃんがまだ赤ちゃんの孫に口座を作って、毎年お金を口座に入れていくのは贈与契約ではありません。
財産をもらう側(赤ちゃん)から「おじいちゃん!お金ありがとう!もらいます!」という合意がとれないからです。
総務諾成契約ではない資金移転の場合は、年間110万円非課税が適用されず、十数年経ってから「まとめて贈与した」とみなされて多額の贈与税が課税される危険性があります。
上記の贈与税率を見てもらうとわかりますが、一括で大きい財産を贈与した場合の贈与税は超高額です。
毎年「贈与契約書」を作成して、あげる側ともらう側で契約書を交わしてください。
あげる側ともらう側で合意がとれていても、贈与契約書がないと「まとめて贈与した」とみなされて多額の贈与税が課税される危険性があります。
贈与契約書の雛形はネットにもありますが、不安な人は専門家にアドバイスをもらってください。
ちなみに、当協会でも専門家のご紹介を行っていますので、周りに専門家がいない人は当協会にお気軽にお問い合わせください。
③生命保険の非課税枠を活用する
前述のとおり、生命保険の死亡保険金には500万円×法定相続人数の非課税枠があります。
生命保険の非課税枠を活用した相続税対策は、とてもわかりやすく簡単な方法ですが、実行していない人が多いのです。
例えば、法定相続人が4人であれば、500万円×4人=2000万円の死亡保険金は非課税になります。
現金はそのまま評価されてしまうため、現金で2000万円保有していれば節税効果はまったくありませんが、現金を保険に置き換えるだけで節税効果が生まれます。
「まだ生命保険の死亡保険金が非課税枠に達していない」という人は生命保険に加入してください。
加入形態は、
- 契約者:被相続人
- 被保険者:被相続人
- 死亡保険金受取人:相続人
です。
例えば、
という感じですね。
被保険者が保険に加入できる健康状態でなくても加入できる生命保険もありますので、現実的な手法です。
ちなみに、生命保険を販売している営業マンさんの中には相続に詳しくない人も多いです。
相続に詳しいFP(ファイナンシャルプランナー)に相談するのがおすすめです。
ちなみに、当協会でも相続に詳しいファイナンシャルプランナーのご紹介を行っていますので、周りに相続に詳しいFPがいない人は当協会にお気軽にお問い合わせください。
④一定期間は解約返戻金が低い生命保険に加入して評価額を下げる
前述のとおり、被相続人が生命保険の契約者、もしくは保険料負担者の場合で被相続人が亡くなった場合は、その生命保険契約も相続財産になります。
- 契約者:被相続人
- 被保険者:相続人
- 死亡保険金受取人:被相続人
のような保険契約です。
上記の「生命保険の死亡保険金の非課税枠」の場合は、被保険者が被相続人ですが、このケースは被保険者は被相続人ではありません。
例えば、
という感じです。
この契約形態で被相続人(父)が亡くなった場合は、被相続人(父)が亡くなった時点での解約返戻金が相続税計算に使われる評価額です。
生命保険は銀行預金と違い、支払った保険料=解約返戻金とは限りません。
支払った保険料よりも、被相続人(父)が亡くなったときの解約返戻金額が小さければ相続税の節税効果があります。
この手法で有効な保険は、低解約終身保険や低解約逓増定期保険などです。
保険料を支払っている期間の解約返戻金がわざと低くなるようになっている保険です。
保険加入からしばらくはほとんど解約返戻金がない保険もあるので、相続税の評価額を大きく下げることができます。
また、被相続人(父)が亡くなったあとに解約返戻金が増えてくるので、解約返戻金が大きくなったら解約すれば大きな現金が手に入ります。
ただし、この手法のデメリットは「被相続人が保険のプラン通りに亡くなるとは限らないこと」です。
できるだけ多くの保険料を払って、低解約期間内に相続が起きるともっとも節税効果が高いのですが、そんなことは狙えるものではありません。
しかし、この手法のもう1つのメリットは、被保険者が若者で良いところです。
被保険者が亡くなってしまうと無意味な手法ですので、もっとも亡くなる確率が低そうな人を被保険者にしてください。
健康状態が良い人であれば保険加入のタイミングを図りやすいので、もっとも相続税の節税効果が高そうなタイミングを見極めて保険に加入する方法もあるでしょう。
この手法を理解している保険営業さんはとても少ないです。
相続に強いFP(ファイナンシャルプランナー)でないとわからないでしょう。
ちなみに、当協会でも相続に詳しいファイナンシャルプランナーのご紹介を行っていますので、周りに相続に詳しいFPがいない人は当協会にお気軽にお問い合わせください。
⑤マンション投資をする
賃貸マンションを1部屋購入することで、相続税計算のマンションの土地評価額は半分になります。
前述の通り、土地の相続税評価は路線価で行います。
路線価は土地の売買価格よりも安いことが多いため、路線価×賃貸マンションの土地評価は半分となり、相続税の節税効果があります。
ただし、この手法はあくまでも投資のためリスクがあります。
相続税節税目的のマンション投資の話はよくありますが、ほとんどの人が立地で失敗しています。
マンション投資で重要なのは立地です。
立地が悪ければ、どんなに設備や築年数が良くてもなかなか借り手がつきにくいです。
相続税節税に目が行ってしまい、肝心のマンション経営がダメでは本末転倒です。
相続税節税のためにマンションを買ったところ、赤字経営で負債が残ってしまう人もいます。
不動産投資をしたことがない人や、相続と不動産投資を掛け合わせた方法が初めての人は、公平中立な立場の第三者に相談してください。
「不動産投資相談窓口」という、不動産投資の公平中立な相談窓口があります。
不動産業者ではないため、公平な第三者の立場からアドバイスをくれるため有効活用してみてください。
参考:不動産投資相談窓口
⑥住宅取得資金贈与
父母や祖父母から、20歳以上の子や孫が、自分が住むための住宅を購入するための資金を贈与される場合、1500万円までの贈与税が非課税になります。
※ちなみに、リフォームでも可です。
現行では、平成33年12月31日までに住宅購入かリフォームをした場合に適用されます。
条件は、
- 住宅取得資金の贈与を受けた年の翌年の3月15日までに住宅を取得して、その住宅に実際に住むこと
- 翌年の3月15日までに住宅を取得しても、住むことが難しい場合でも、すぐに住むことが確実なこと
- 贈与を受けた年の所得が2000万円以下であること
となっています。
前述の相続時精算課税制度と似ていますが、資金用途が住宅取得に限定されている点が大きな違いです。
また、住宅取得資金贈与の場合は相続時精算課税制度と違って、通常の贈与の非課税枠(年間110万円)の併用も可能です。
住宅取得資金贈与と、毎年の310万円贈与をすることで大きく相続財産を減らすことができるため、相続税の節税になります。
「子供や孫が住宅を購入する予定がある」という人にはおすすめの手法です。
引用元:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
まとめ
いかがでしたか?
- 相続税の基礎控除の計算方法
- 相続税の対象になる相続財産
- 相続税の計算方法
- 相続税を節税する6つの方法
などをご紹介してきました。
あなたの家の基礎控除はいくらでしたか?
どんな相続財産がありそうでしょうか?
相続財産は基礎控除を超えそうですか?超えなさそうですか?
相続税はいくらくらいになりそうでしょうか?
相続税は複雑にできており、知識がないとミスが起きたり見落としがあったりして、後で高い追徴課税が発生するリスクがあります。
相続について自分で勉強することはもちろん大切ですが、自分ではどうしてもできない部分は専門家に相談しましょう。
※ミスがあるよりは良いです。
相続に関する専門家は、
- 弁護士
- 税理士
- 司法書士
- 行政書士
- 不動産鑑定士
- FP(ファイナンシャルプランナー)
などがいますが、すべてのジャンルに精通している専門家はなかなかいません。
弁護士は法律の専門家ですし、税理士は税金の専門家、不動産鑑定士は不動産の専門家…というように専門が分かれています。
1人1人に相談していては不効率です。
私たち「一般社団法人 相続ファシリテーター協会」では、相続に関するあらゆる専門家とのネットワークを通じて、あなたに最適な相続の専門家をご紹介しています。
また、専門家ごとに相談すると不効率ですから、相続の相談窓口を当協会に一本化できることも大きなメリットです。
法律・税金・不動産・金融資産など複合的な相続のサポートを提供させていただいております。
「相続について相談したいことがある」
「こんな初歩的なこと聞いていいのかな?」
「相続に関して、ネットや本を調べてもどうしてもわからないことがある」
「相続の専門家を紹介してほしい」
など、相続に関するあらゆる相談にお応えしていますので、お気軽にお問い合わせください。
また、東京・札幌・名古屋・大阪・福岡などで相続の勉強会などで講演もしています。
私たちの活動については、当協会のホームページをご覧ください。
あなたの相続のお役にたてばうれしいです(^^)
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